柑芦会(和歌山大学経済学部同窓会)大阪支部
和歌山の「蜜柑」の香りと、天指して伸びる「芦」のたくましさ、強さに因んで命名された。そしてこれを「かんろ」でなく「こうろ」と読ましている。
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7月度研究わくわく人生塾のご報告
2008年7月15日(火)18時30分から21時
旅行会社の使い方
講師: 廣岡 裕一(ひろおか ゆういち)先生
和歌山大学観光学部(観光経営学科)教授
立命館大学法学部法学科卒業
民間の旅行会社・旅行専門学校勤務
立命館大学経営学研究科博士前期課程修了
同 政策科学研究科博士後期課程修了
参加者25名
夏のレジャーシーズンを迎えたこともあり、タイムリーな企画「旅行会社の使い方」ということで、
25人が出席、柑芦会大阪支部の事務所に入りきらないということで、地下の集会室を借りての講義となった。
講師の廣岡先生は理論だけでなく旅行会社に勤務したこともあり、極めて実践的な話であった。
講義内容
「旅行会社」とは
旅行業者は、一般に「旅行代理店」と言われているが、日本旅行業協会は自らを「旅行会社」と呼んでくださ
いとそのホームページで示している。
しかし、代理業としてスタートしたこともあり、自ら責任を取らない風習が旅行会社に色濃く残されている。
しかも、全体に収益率の低下とともに人件費を削減するため、従業員の非正規化を進めるなど人材育成に問題
を残している。
しかし、一般の商品と異なり、旅行商品や旅行業従業員の質は外からは判断しにくいことや、旅行業者や
ツアーの選定に当たっては質よりも価格が重視される傾向があること、それに天候なども重なって、要するに
行ってみなければ分からないところが多く、また、人材育成が遅れている。
旅行商品(パッケージ)を企画・手配し、販売するという旅行業界は重層的な構造をしているが、一方、中小
企業、零細企業でも参入しやすい業界である。互いに競合するとともにコラボする部分もあり、この構造は時
代の変遷とともに変化していく。
ヨーロッパ、とくにイギリスとドイツは、地中海のビーチを目指したツアーが中心であることから、より多く
のエリアを確保することが収益を生むため、国境を越えて水平統合していく傾向にある。
「旅行会社の使い方」
旅行会社は人を採用するに当たって、実質よりも見かけの良さを重視していること、業務知識は採用してから
つけるというが、どこも日業務が忙しく、均質化された教育がされていないことを理解しておく必要がある。
旅行全般に必要とされる知識は幅広いが、一人の人間がそれを習得するのは無理がある。
しかし、お客に聞かれたことに対しては、「知りません」とは言えないので適当に応えていることが多い。
したがって、旅行会社の人に聞く場合、いろいろの角度から聞いて、納得できる回答が得られるようにする。
例えば、その部屋からはビーチが望めるか、などは行ってみるまで分からないが、事前によく調べておくことが
必要。
疑問点は書面に残すようにする。旅行先の地域特性を知り、その分野で得意とする旅行会社を選ぶ。
いずれにしても安いツアーにはそれなりの理由があることをわきまえ、大事なときには多少高くても安心できる
会社を選ぶようにすべきだ。
質疑応答
旅行は身近なことでもあり、また、旅行のベテラン諸氏が多かったこともあり、質疑応答はいくら時間があって
も足りないくらいに活発に行われた。ここではいくつかに絞って、質疑応答の内容を再現する。
(Q)道路建設は観光地を活性化させるか
(A)その道路の目的地が問題だ。観光地が最終目的地なら観光地の活性化に寄与するが、通過地点に過ぎなけれ
ばさびれることもある
(Q)和歌浦などの旅館は寂れているが、有馬は立派に経営している。その差は何か
(A)結局は経営者の質だ。バブル期までは本業で利益を上げていなくても、不動産を担保に銀行から金を借りて
経営できていた。いまは、銀行も簡単には貸してくれない。本業で利益を出すための工夫が経営者に求めら
れている
(Q)パッケージ旅行はなぜあそこまで安くできるのか
(A)旅行会社と航空会社、ホテル業者などとの力関係が大きい。旅行会社が多くのスペースを抑えることで単価
を安くさせている。しかし、ネットによるチケットの販売などによって、この力関係が変わろうとしている
(Q)海外旅行で経費を安くする方法はあるか
(A)アジアでは、現地語を話すことが出来たらホテル代が10分の1程度のところに泊まることも可能だが、安い
パック旅行は、現地で万が一の事故があったときには補償が十分でないなどの問題もある
(Q)エコツーリズムという考え方が台頭しているが、日本ではどうか
(A)エコツーリズムとは何かという根本的なことから考える必要がある。二つ目は旅行業者のビジネスモデルに
なるかという問題だ。社会現象としてのエコツーリズムはわかるが、今の段階で旅行業者が商品化しにくい
のではなかろうか
以上
報告:林 恵造(10期)
本年の観光学部新設を記念してシリーズで実施してきた研究わくわく人生塾の最終講義でした。
今回は、旅行を考える上で多くの会員が頼る旅行業者そのものの本質についてお話を伺うことができました。
旅行業者には海外パッケージを企画・実施できる1種、国内パッケージを企画・実施できる2種、そして、
営業所の所在する市町村とその隣接する市町村を越えたパッケージは企画・実施できないが、今後の地域活
性化の切り札となる着地型旅行を企画できる地場中小が多い3種があり、旅行業者そのものにも得意分野が
有るそうです。しかしながら、人件費率が45%と高く、人材育成や業界統合など様々な課題が山積の業界
のようです。
観光学部の卒業生が新たな業界内でのリーダー的存在になるであろうフィールドに未知なる可能性を感じま
した。
実務経験と実体験を織り交ぜながらの興味深い裏話など、直ぐに役立つ情報とお話に参加者一同大満足の
ひとときでした。
廣岡先生、新学部の授業が大変お忙しいところ人生塾のために興味深い研究資料とレジュメをご準備いただ
き、本当にありがとうございました。
参考:日本旅行業協会のホームページ
http://www.jata-net.or.jp/
著書:
『旅行取引論』単著(晃洋書房)2007.6
文責:塾長 渡邊 豊(33期)
[2008/07/22 11:44]
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