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H21年7月度研究わくわく人生塾 米国の金融危機とグローバル金融市場の変動

2009年7月31日(金)18時30分から21時

米国の金融危機とグローバル金融市場の変動

講師: Nabil MAGHREBI(マグレビ・ナビル)先生(和歌山大学経済学部教授)
出身はチュニジア共和国チュニス。
1986年Institut des Hautes Etudes Commericales IHEC Tunis-Carthage 卒
1988年に日本政府の奨学金を得て来日、大阪大学で経済博士号取得
1996年和歌山大学経済学部に赴任
2008年和歌山大学経済学部経済学科教授


参加者18名

(講師写真)koro-nabiru 002


2008年9月に米国で金融危機が発生、たちまちにして世界市場に波及、しかも金融恐慌にとどまらず、
実体経済にも深刻な影響を与えた。一応、日経平均株価は回復するなど、「大底を打った」との認識
もあるが、果たしてこのまま順調に世界景気は順調に回復していくのであろうか。金融市場から今後
の見通しを語っていただいた。

講義内容

1.「100年に一度」

米国における金融危機について金融市場・政策の分析と論争が行われる。金融危機の発生と経済問題の
悪化の原因としては市場失敗(Market Failure)および政策失敗(Policy Failure)が取り上げられる。
しかし、今回の危機を世界大恐慌、「100年に一度」の経済恐慌とする位置づけは不適当である
―グリーンスパン前FBR(米連邦準備制度理事会)議長は、金融危機から派生した経済危機が未曾有の
広がりを見せていることから、ポールソン前財務長官の発言のように、責任を回避する逃げ口上と誤解
されても仕方がない。このような金融危機が数年後に繰り返さないようにするためには、問題を単純化
するよりも、原因を究明し、金融政策・金融システム・金融サービスの規制および金融市場のメカニズ
ムを正しく理解する必要である。実は、今回の危機は完全に予測できなかった問題ではないという意見
もある。主に、経済学者Robert Shiller (Irrational Exuberance, 2005)は数年前から住宅価格の急上
昇は人口の緩やかな増加傾向および建設コストの減少傾向では説明できないことを明らかにしていた。
このように住宅価格がファンダメンタル価格(供給と需要)から逸脱は異常だと学者が指摘したが、
FRBは低金利政策を続けバブルが膨れあがり、崩壊のショックに対して適切な対策を取れなかった。

2.格付け会社の責任

金融市場のメカニズムを正しく理解するために、証券化のプロセスの特徴について考える必要がある。
証券化によって、投資銀行は信用リスクの異なる各種の住宅ローンを組み合わせ、新たな証券を提供
できる。証券バスケットの中には破綻リスクが極めて低いAAA(トリプルA)のローンも相対的に
デフォルトリスクの高いサブプライムローンも含まれている。
その際、信用リスクが低い優先クラス債券(Investment Grade)を保証するために、格付け会社の判断は
重要である。しかし、Issuers-Payモデル(格付け料が発行者の負担)のため、格付け会社の自身の利益相反
(Conflict of Interest)が発生する可能性がある。Investment Gradeを取得ためのアドバイスを格付け会社
は発行者に提供することによって、格付けに対して独立的な判断は難しくなる。
この意味で、ゲートキーパー(Gatekeeper)の機能を果たす格付け会社の責任は重大だと思われる。

3.クレジット・デフォルト・スワップ(Credit Default Swaps)

クレジット・デフォルト・スワップの取引において、売り手(Protection Seller) がCDSスプレッドを受け
取り、参照組織(Reference Entity)に対してクレジット・イベントが発生した場合
(デフォルト・倒産・格付け低下など)、買い手(Protection Buyer)に想定元本の金額を支払うことが約束
する。信用リスクを保証するためのオプション取引および保険契約としても考えられる。
ただし、保険をかける側Protection Buyerの信用リスクの負担(Risk Exposure)という条件は存在しないこと
によって、第三者も保険金を受け取れるメカニズムである。
同様に、保険会社のProtection Sellerによって、支払いリスクも拡大する。
大量のCDSプレミアムを取得したAmerican International Groupが米国政府に救済された。事実上、この救済
によって、米国政府はCDSプレミアムのないProtection Sellerのポジションの役割をはたし、モラル・ハザ
ードという大きな問題も引き起こした。この意味で、「100年に何度」もの金融危機の可能性が高くなった。

4.現行株価の水準

  金融危機の影響を受けて、国際金融市場における資産価格は急下落した。
しかし、ニューヨークのダウ工業株30種平均株価の動きから見て、9000ドル台を回復し、最近は上昇傾向に
あるという意見が広がっている。金融危機の前のレベルにまで回復するには注意する必要がある。
合理的な経済分析・企業分析が重要である。依然として失業率は上昇しており、住宅価格も下がり、住宅
ローンの破綻が続いている。過消費からの修正も続いており、個人消費が大きく伸びる状況はまだ観測さ
れてない。金融政策を見ても実質的にゼロ金利に近く、新たな金融政策が打ち出しにくい状況にある。
一方、財政も大幅な赤字で、唯一の頼みである中国も米国債購入に消極的になっている。したがって、
この不況からの脱出には時間がかかると予想される。

5.質疑応答

参加者からは、多面的に質問や意見が交わされ、時間はあっという間に過ぎ去った。
主な質疑は次の通りである。

  Q)米国は巨額の財政赤字に加え貿易赤字も巨額に達し、ドルは海外にばらまかれている。
    このままではドル安は避けられないのではないか。
A)これまでは海外にドルが流出しても米国に環流するシステムがあった。
しかし、オイルマネーも原油の値下がりで規模が縮小している。しかし、中国が外貨保有額を拡大してい
るため、米国は国債消化のため、中国に接近しなければならない状況にある。どの程度まで政治的な発言
によってサスティナブルドルなドル高の状況を維持できるかという疑問が残っている。
しかし、先進国におけるゼロ金利政策が続く中、外国為替キャリートレード(Carry Trade)が行う可能性が
低いことは明らかである。この意味で、金融危機の前のドル高・円安レベルにまで復帰することは考えに
くい。

Q)イスラム金融は基本的にどのような仕組みで成り立っているのですか。
A)イスラムの教えでは、人に金を貸して利息を払う・得るということは禁じられている。注意する必要が
ある一点は利子(Interest)は禁止されているが、リターン(Return)は差しつかえないということである。
従って、銀行は産業に融資してそこで得た利益の分配を受けるという形(Venture Capitalism)をとって
いる。いわゆる、このようなアントレプレナーシップ(Enterpreneurship)の重視した、実体経済に即した
金融システム金融サービスである。
……これに関連して、出席者の多くからイスラム金融についてもっと教えて欲しいとの声があった。

Q)証券の評価損が企業の収益を大きく圧迫している。こうした会計システムはおかしいのではないか。
……これについては先生からの回答ではなく、むしろ出席者の間で活発な議論が交わされた。
主な意見は、「日本が導入を迫られている国際会計基準では当然の措置である」、「米国が大手銀行に対
して行ったストレステストでは、評価損の計上は過少に抑えられ、4~6月期の大幅な利益を出す要因にな
った。これはダブルスタンダードだ。それが許されるならば、日本独自のシステムを作ってもおかしくは
ない」などであった。

Q)先生の研究されている「日経225ボラティリティー指数 (VXJインデックス)」から、今後の株価を占って
いただきたいのですが。
A)日経225ボラティリティー指数の(VXJインデックス)によって将来における株価指数のレベルを予測する
ことが出来ない。しかし、現時点からの30日間に、どの程度日経225レベルが変動するかについて、一つ
の尺度として使用できる。現在のVXJの値は30%以下だが金融危機に予想される変動性は90%であった。
これはあくまでも指数であって、実際の株価を占うものではない。ただし、金融危機の時期のように、
不確実性が高くなると、このVXJ指数が上昇し、株価が下落する可能性がある。

なお、チュニジアは北アフリカの国であり、ローマから1時間半のところにあり、ヨーロッパ旅行のついでに
立ち寄っても日帰りで少しでも観光できるようです。ただ、古代ローマと戦ったカルタゴの遺跡などをじっ
くりと観光するには少なくても1週間が必要だそうです。

以上

報告:林 恵造(10期)

(講義風景写真)koro-nabiru 004


私には、講師の出身地であるチュニスのイメージが浮かびませんが、1988年に日本に来られて以来
精力的な研究活動とその日本語の流暢さには感激するとともに、外国人にとって重要な日本での
年金資格についても興味をお持ちの先生に、日本の年金問題にもお力添え頂ければと思いました。

今までに、いくつかのバブルが発生し、その後には鉄道インフラやITインフラが残ったという、
そして、今回のCDSバブルの後には、何を残すのだろうかと言われた。

数年前、デリバティブの論文を書かれた時にはCDSは存在しなかった。リスクヘッジとしての
オプションの考え方やCDSの仕組みとしての保険会社の位置づけに対して例を用いて説明していた
だき、本当に分かり易い講義でした。VXJが恐怖の指数ということもわかりました。
難しい内容を分かり易くお話いただき、参加者一同大満足のひと時でした。

再講義のリクエストも多く頂いております。

マグレビ・ナビル先生、大変お忙しいところ人生塾のために興味深い資料をご準備いただき、
ためになる講義を本当にありがとうございました。

マグレビ・ナビル先生のこれからの研究活動に多いに期待しております。

*講師が参加されている研究プロジェクトで、
大阪大学・金融保険教育研究所の共同研究者として日経225ボラティリティー指数
Volatility Index Japan (VXJ)を計算・公開しています。

  http://www-csfi.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/structure/activity/vxj.php

文責:塾長 渡邊 豊(33期

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